【AR】大名庭園の魅力にふれる 名古屋市の「徳川園」

 前号から、昨今人気が高まる大名庭園の一つ、名古屋市にある「徳川園」について取り上げている。今週は園内の魅力を紹介したい。

 徳川園は池を中心とし周囲に遠路を巡らせる「池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)」と呼ばれる形式を採用した日本庭園。高低差の大きい地形を生かし、造園したものとは感じられない自然で豊富な樹木や大きな岩組み、広大な敷地が特徴だ。

 なかでも「龍門の滝」と呼ばれる滝は、コイが滝を登りきり龍になったという伝説に基づく形式。これはかつて尾張家江戸下屋敷(戸山屋敷)の敷地跡地にあったとされる滝の石を移設したもの。同屋敷の庭園で将軍や諸大名が楽しんだとされる、滝の水流が急に増すという仕掛けを再現するなど、当時の造園技術と尾張徳川家の歴史を後世に伝える役割もある。

 同園管理事務所の男性は「一般的な日本庭園と比べ、武家ならではの着眼点や厳かな雰囲気を出しています。大名庭園の魅力を感じてください」と話していた。

 和歌山県内で現存する大名庭園は、養翠園と和歌山城西之丸庭園(紅葉渓庭園)。同じ大名庭園であっても造園当時の主の気質や趣向が反映され、現代を生きる私たちを楽しませてくれるもの。一度、徳川園へ足を運んでみては。徳川園へは名古屋駅から市バス基幹2号系統で「徳川園新出来」下車徒歩3分。   (次田尚弘/愛知)

徳川園内の龍仙湖から名古屋市街を望む

徳川園内の龍仙湖から名古屋市街を望む