県の産業活性化議論 第2次計画策定へ

 県の産業活性化を考える、本年度の第1回「県産業技術戦略会議」が15日、和歌山市のホテルアバローム紀の国で開かれ、仁坂吉伸知事と産学官の有識者が意見を交わした。平成22年4月に策定された「県産業技術基本計画」の期間満了に伴い、昨年度から第2次計画の策定に向けて議論している。

 同計画は「新技術による新産業の振興」と「既存産業の高付加価値化」を目指すための基本方針を示したもの。将来成長が見込まれる①ロボット等加工・組立技術②化学③医療・福祉④バイオ・食品⑤エネルギー・環境――の5つを重点分野としている。

 会議には会社社長、大学学長、団体代表ら委員12人と県職員らが出席。議長を務める仁坂知事は「和歌山県も広い意味での投資を盛んにして、雇用を増やして栄えるようにしたい。どういう産業を狙い、どうしていけばいいか、ぜひ良い知恵をください」とあいさつした。

 ノーリツ鋼機の西本博嗣社長は、創業支援に関して提案。現在、行政の支援は主に企業の「安定期」が対象になっているとし、「『創業期』や『停滞期』にも積極的にアプローチし、自ら育成対象となりうる事業や企業を発掘し支援していくべき」と指摘。行政と企業などがつながるためのイベント開催を提案した。

 中野BCの中野幸生社長は、安全安心▽スピード▽農業▽福祉▽環境▽健康▽通信――の頭文字を取って「あすのふかけつ」が今後伸びてくる産業の7つのキーワードとし、中でも「農業」を重点分野にと提案した。

 和歌山大学の瀧寛和学長は自身が専門とする人工知能にふれ、「人間に代わって決定する能力が相当進んできている。ソフトウエアといろんなものを組み合わせるのが重要」と、今後増えてくることが予想される複合分野の育成を提案した。

 県産業技術政策課は、今後数回の会議を通して出された意見を基に、本年度のできるだけ早い時期に第2次計画を策定するとしている。