おもてなし忍者で活躍中 留学生の王さん

 関西国際空港のLCC(格安航空会社)就航などにより中国や香港、台湾からの観光客が急増している和歌山市で、和歌山城の「おもてなし忍者」として中国人留学生が活躍している。河南省洛陽市出身で、和歌山大学大学院経済学研究科1回生の王浩瀚(おう・こうかん)さん(24)だ。

 おもてなし忍者は本年度、王さんを含め2人の中国人留学生を採用し、外国人観光客へのサービス向上を図っている。

 王さんは、同大学院の教授の勧めで忍者に応募した。子どものころから、中国で放送されている日本のアニメ「忍者ハットリくん」などを見ていたことから、自分が忍者になることに違和感などはなかったという。中国人観光客などを案内する際には、「なぜ中国人が忍者をやっているのか」と質問攻めにあうほど、興味を持ってもらえるという。ある日は、台湾の観光客が城内で落とした携帯電話を1時間以上探した末に発見するなど、思い出深い出来事にも遭遇した。

 政府間では良好とまではいえない日中関係だが、王さんは「東京や大阪での中国人の買い物ぶりなど、民間レベルでは全く問題ない。中国人観光客に忍者や和歌山城の魅力を伝えたい」と意気込む。今後については「忍者のことをもっと学び、大学院卒業後は、母国で日系企業に就職したい」と夢を話している。
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 県のまとめによると、平成26年に和歌山市を訪れた外国人宿泊者数は、前年より3万7563人増加の6万80人(前年比2・67倍)と急増。そのうち、中国が2万2990人、台湾が1万2663人、香港が9627人と中国語圏が外国人宿泊者の大半を占めていることから、市の観光振興をさらに進める足掛かりとして、中国人を中心とした観光満足度向上への取り組みが必要視されている。

台湾の観光客を案内する王さん(和歌山城天守閣前)

台湾の観光客を案内する王さん(和歌山城天守閣前)