市電の写真100点寄贈 中川さんが市に

 昭和45、46年にかけて撮影された和歌山市電(南海電鉄和歌山軌道線)の写真約100点をまとめたアルバム3冊の寄贈式が18日、市役所で行われ、寄贈者の同市木広町の中川聖子さん(71)から尾花正啓市長にアルバムが手渡された。

 撮影者は、中川さんの夫、故・隆人さん(享年71)。元県庁職員だった隆人さんは、昭和40年ごろから、趣味で全国の地方鉄道に出向き写真を撮りためていた。ことしに入り隆人さんが亡くなるまでの10年間は、夫婦で撮影に出掛け、始発電車を撮影するために、線路近くに車を止めて一泊し、シャッターチャンスを待つほど熱心だったという。アルバムには、車両だけではなく、背後の風景まで大きく写し込んでいることから、当時の景観が分かる貴重な資料になるという。寄贈には、隆人さんの生きた証しを残したいという聖子さんの思いが込められている。

 寄贈式で尾花市長は「丸正やぶらくり丁に、県下至るところから人が訪れて、にぎわっていた当時を思い出す貴重な資料です」と感謝。聖子さんは「全国のローカル線の写真が、まだまだたくさんあるので、各地に寄贈して多くの人に楽しんでもらいたい」と夢を語った。

 寄贈された写真は市立博物館で保存され、来年夏の新収蔵品展などでお披露目される予定。

写真を寄贈した中川さん

写真を寄贈した中川さん