農地転用のミドルソーラー 印南町で稼働

地域密着型発電会社「和歌山自然エネルギー発電㈱」(本社・和歌山市南材木丁、木村浩造代表取締役)が中心となって建設を進めてきた太陽光発電所が、印南町美里地内の畑跡地に完成し、27日に現地で開所式が行われた。山間部で維持管理の継続が難しくなった梅畑を転用。同社第1号の稼働で今後、利用度が低くなった農地やため池を有効活用した1000㌔㍗未満のミドルソーラーによる地域活性化事業として注目されている。

事業は自然エネルギーで地域を活性化させる目的で、今回の「和歌山自然エネルギー印南発電所」には昨年春に着手。地元や自治体との調整を図り、御坊市薗の山田傳一さん(68)所有の梅畑を20年間の契約で借り入れて転用し、面積約1万3000平方㍍の敷地にソーラーパネル3588枚を設置した。

出力約915㌔㍗、年間発電量は約100万㌔㍗。約300戸分の使用電力に相当するという。

施工は㈱大山(本社・和歌山市橋向丁、大山典男代表取締役)。発電した電気は全て関西電力㈱に販売する。

開所式には山田さんを含め、関係者ら25人が出席して完成、稼働を祝福。木村代表が感謝を述べ、「会社第1号の発電所で、農地転用は県内最大級。20年間土地を守り、一緒に長生きしたいと思っています。今後も、こういった土地を有効活用して自然エネルギー発電を拡大し、地域に貢献していきたい」とあいさつ。テープにはさみを入れ、稼働スイッチを押して発電を開始させた。

同社は、和歌山市を中心とする異業種の中小企業でつくる珍しい発電会社。今回の資金は大阪ガス㈱が新エネルギー設備普及のため設立したエネルギー金融サービス会社「エナジーバンクジャパン㈱」と提携して確保した。

今後、大規模のメガソーラーではなく、ミドルソーラーを主体に普及を進める計画にしており、県内各地域で利用されていない農地やため池を有効活用した電力供給体制拡大が目標。印南に続き、かつらぎ町で建設を始めている。

山田さんも「地元区の皆さんの協力のおかげ。歳も歳だし畑が自然エネルギーに活用できることで少しでも地域に貢献できれば」と話していた。

ソーラーパネルを背に山田さん㊥と木村代表㊧

ソーラーパネルを背に山田さん㊥と木村代表㊧