有間皇子をしのぶ祭り 新しい鳥居も奉納
万葉集に歌を残した有間皇子(640~658)を祭る海南市の藤白神社(吉田昌生宮司)の境内社「有間皇子神社」で11日、毎年恒例の「有間皇子まつり」が行われた。
有間皇子は飛鳥時代、孝徳天皇の息子として生まれ、皇位継承にからんだ謀反の罪を着せられ、19歳の時に藤白坂で絞殺されたという悲劇の貴公子。藤白坂の登り口には墓碑と万葉集で詠まれた歌碑が建てられている。
シロアリの浸食などにより老朽化していた有間皇子神社の鳥居は今月8日、まつりに合わせて総代が奉納。新しい鳥居を構えた同神社境内には総代をはじめ、藤白神社敬神婦人会、紀伊路語り部、地域住民ら約50人が出席した。
祭典を前に田宮司が参拝者にあいさつし、有間皇子の歌「家にあれば笥(け)に盛る飯(いい)を草枕旅にしあれば椎(しい)の葉に盛る」が盛り込まれている祝詞の内容を説明。祭典は田朋広禰宜を斎主に執り行われ、祝詞が奏上された後、参拝者は玉串をささげた。
祭典後には近畿大学名誉教授で紀伊万葉ネットワーク会長の村瀬憲夫さんによる講話や、万葉集の朗誦会があり、有間皇子をしのんだ。