観客動員1位の滑り出し 「海難1890」
125年前に串本町沖で座礁したトルコ軍艦エルトゥールル号の海難事故と、その95年後のテヘラン在留邦人の救出劇を描いた日本・トルコ合作映画「海難1890」の田中光敏監督(57)が6日、和歌山市松江向鵜ノ島のジストシネマ和歌山で舞台あいさつに臨み、多くの人の支援で映画が完成したことに、あらためて感謝した。同作は県内5劇場で上映され、公開初日の5日は6247人が鑑賞。本年の初日観客動員数、興行収入1位を記録した。
映画上映後に観客の前に登場した田中監督は「やっと(映画の)バトンが出来上がったので、皆さんにお渡しして、次から次へとたくさんの人に手渡していきたい」と感慨深そうに語った。脚本については「串本の事故があってテヘラン邦人救出があったが、単なる『恩返し』だけでは済ませたくなかった」とし、「名もなき人たちが命懸けで行った互いの親切が、両国の友情につながった。世界の人たちがそういう思いを持てば、世界はもっともっと平和になるのではないか」と話した。
満員となった約270席の最前列で鑑賞した同市岡崎の会社員、志茂公亮さん(29)は「映画を見てあらためて、日本とトルコの絆を感じることができました」と話していた。
「海難1890」は全国309館で公開され、大ヒットが期待されている。