大盛況の紀勢自動車道 人命を守る役割も
ことしも残すところあと3週間。1年を振り返ると、紀の国わかやま国体・大会を契機に、県内ではさまざまな変化や発展が見られた。とりわけ、南紀田辺インターチェンジ(IC)と、すさみ南ICを結ぶ紀勢自動車道の開通は、田辺市以南へのアクセスを大きく変えた。
紀勢自動車道は7月12日に南紀田辺IC―南紀白浜IC間、8月30日に南紀白浜IC―すさみ南ICが開通。全線にわたり、通行料は無料。すさみ南ICの程近くにオープンした道の駅「すさみ」では9月の来客者数が想定の3倍となる3万8800人を記録。併設する「エビとカニの水族館」では、オープンから約半月で昨年の入館者数の2万人に迫る1万5000人が来館するなど、紀南の玄関口として定着してきた。
道の駅では地元の食材を使った料理を雄大な海を見ながら食べることができ、水族館ではその海の中に生息する小さな生き物たちの営みをうかがい知ることができる。その魅力については追って紹介したい。
観光への影響が大きく見られる紀勢自動車道だが、紀南エリアにおける人命を守る役割も大きい。南紀田辺IC―上富田ICの区間に、緊急車両のみ通行できる緊急退出路が整備されている。緊急退出路にはリモコンで開閉するゲートが付けられており、見た目は工事用車両の搬入路と同じ。退出路は県道とつながり、県道から約500㍍の地点に、救急医療施設の紀南病院がある。この緊急退出路を利用することで、上富田ICを経由するより、搬送時間を約3分短縮できるといい、新しい試みとして県内外から注目されている。
(次田尚弘/田辺市)