予算、税制改正など議論 一票の格差も課題の通常国会
1月4日から通常国会が始まりました。この国会では予算委員会理事、文部科学委員会筆頭理事などを務めます。
予算委員会では平成27年度補正予算、平成28年度予算を審議しますが、委員会はもとより理事会が頻繁に開催されるため、1月と2月は国会にくぎ付けになりそうです。また、その後も筆頭理事として、従来からの教育や科学技術に加え五輪関係を所管する文部科学委員会で、責任者として野党との折衝を行います。いずれにしても忙しい日々になりそうです。
さて、今国会に提出される予算案や税制改正案は、10月ごろから年末にかけて自民党や与党の内部で連日のように熱心な会議を重ねまとめたものです。ちなみに、党税調インナーとして深く関わった税制改正案では主に次のようなトピックが挙げられます。
①軽減税率の導入 平成29年4月の消費税引き上げの際、生鮮食料品と加工食品(外食を除く)に適用されます。ただ、財源や対象品目の線引き、事務の円滑な実施など課題が残っており引き続き税調で議論します。
②法人税の引き下げ 世界各国と比べ法人税率が高いとの声、また企業に景気を牽引してもらいたいとの声などを受けて実施します。ただ、さまざまな法人税制の中でやりくりをして、すなわち税収中立を守りながら行うもので、他の財源は使用しません。
③車体課税の見直し 平成29年4月の消費税引き上げに伴い自動車関連税を見直すもので、少し減税になります。
④地方法人税の偏在是正 東京や愛知などに偏っている地方法人税を全国に再配分するための制度を改めてつくりました。
また予算では、経済再生と財政再建の両立をめざすという非常に難しい編成でした。
特に財政再建は、好景気による税収増、増税、歳出カットの三つの組み合わせしかありません。幸いアベノミクスで税収が増え、平成29年4月には消費増税も予定されていますが、課題は歳出カットです。最大の歳出項目は、税収の半分以上に及ぶ社会保障費です。それだけに、ここに切り込まない限り財政再建はおぼつかなく、国民の理解と協力なしには達成できない状況です。
ただ、今予算でも低所得の高齢者や子育て支援の手立てを行い、TPP対策や景気対策、そして地方創生に力を入れた予算となっています。
そして税財政に並ぶ、もう一つ重要な課題は一票の格差です。先般、最高裁で一昨年の衆議院選挙は「違憲状態」との判決が出ました。これは重く受け止め速やかに対応しなければなりません。
衆議院議長の下の第三者委員会は「7増13減」案を答申しました。国会では、この案をたたき台に各党が集い成案を得るべく議論を行い、続けて成案に基づく区割りなどの手続きを速やかに進め、違憲状態を解消すべきです。
ただ、そろそろ「そもそも論」を行うべきと考えます。人口比だけで衆参の定数を決めてよいのか、議論すべきです。広大な面積を有する選挙区や離島を多く抱える選挙区がある一方、自転車で回れる選挙区もあります。人口比だけで本当に国民の声や地域の実情を国政に反映できるのか、国民的議論が盛り上がることを期待しています。