九度山に「地蔵昇龍」 田村さんの天井画

建築デザインなどを手掛ける阪南市の田村茂さん(68)が、九度山町椎出(しいで)の地蔵寺に奉納しようと、先月から制作してきた天井画「地蔵昇龍」が完成した。

天井画の大きさは3・6㍍×3・6㍍。玉をつかみ、天を駆ける勇ましい龍が天井いっぱいに描かれ、龍の頭には、同寺本尊の地蔵菩薩が乗っている。

田村さんは田辺市出身。これまで、和歌山市の圓蔵院や紀州東照宮、高野山の福智院などに天井画や彫板画を奉納。昨年夏、九度山町に伝わる県の無形民俗文化財「椎出の鬼の舞」を目にしたことをきっかけに、町の魅力を掘り起こし発信しようと、同町で写真展や展覧会を開くなどしてきた。

先月8日から18日までは、同町入郷の道の駅「柿の郷くどやま」で天井画の公開制作を実施。町民をはじめ、道の駅利用客ら2000人以上に、下絵の龍のウロコ部分などに、それぞれの名前とともに願い事を書き入れてもらい、田村さんが金紙を施すなど仕上げをして共同で完成させた。

近く橋本市の紀州高野組子細工師、池田秀峯さんが縁取りを担当し、24日に同寺で奉納、開眼法要を執り行う。

田村さんは「一年を通じて多くの人に見に来てもらえる材料ができた。この周辺は若者も減っているので、まちの活性化の一つになれば」と願っている。

迫力ある「地蔵昇龍」㊧と制作する田村さん

迫力ある「地蔵昇龍」㊧と制作する田村さん