地域に根ざして45周年 演劇集団和歌山
創立45周年を迎えた和歌山市のアマチュア劇団「演劇集団和歌山」(植田幸男代表)は27、28の両日、同市の和歌の浦アート・キューブで記念公演「変幻の海―源平の争乱と熊野水軍―」(本紙など後援)を行う。平安時代末期の源平の争乱を背景に、熊野水軍を率いて活躍した湛増(たんぞう)親子の愛憎劇を、壮大なスケールで描いた大作。脚本を担当した楠本幸男さん(61)は「現代にも通じる作品。家族とは何かを、あらためて考えてもらう機会になれば」と話している。
同劇団は「地域に根ざした芝居づくり」を掲げ、昭和45年に創立。和歌浦南の和歌浦小劇場を活動拠点に、現在は演劇経験30年以上の団員を中心に、30代から60代までの13人が在籍している。
現代作家作品の他、地元の歴史を題材にした創作劇にも力を入れてきた。同劇団専属の座付き作家・楠本さんによるユーモアと人情味あふれる作品をはじめ、捕鯨を題材にした「海王」や、豊臣秀吉の根来攻めをテーマにした「風吹にひびく唄」、雑賀衆の人間模様を描いた「黒い鳥」など、郷土色豊かな作品を毎年欠かすことなく上演。平成16年度には県文化奨励賞を受けている。
今作では田辺の湛増率いる熊野水軍を中心に、うごめく一族の愛憎や野心、挫折など、人間の真実の姿を描き出そうと試みている。
演出を担当した山入桂吾さん(50)は「憎しみ合いの基にあるのは、自分らしく生きていたいという思いや、人間の欲深さ。それは決していい気がするものではないが、どこか共感してもらえる瞬間があると思う。熊野の荒々しさや戦う人たちの思いをどう表現するかが難しいところ」と話す。
先日同市の和歌浦小劇場で公開稽古が行われ、子どもたちを含めた出演者21人が、せりふや演技を細かく確認。当日に向け演技にも熱が入り、植田代表(66)は「45年間、危機的な局面も何度か経験しながら、多くの方の支えで続けてこられた。プロの役者のようにはいきませんが『和歌山に演劇集団あり』と感じてもらえるような、地元ならではの芝居ができれば」と意気込んでいる。
27日は午後1時から、6時からの2回公演。28日は午後1時から。前売り2500円、当日2800円。中高生前売り1500円、当日1800円。和歌の浦アート・キューブや県民文化会館、市民会館で取り扱い。問い合わせは同劇団(℡073・445・4537=午後7時半以降)。