聴導犬の理解広げたい かつらぎの宮本さん
目が不自由な人を補助する盲導犬の認知や理解が社会に広がる中、耳が不自由な人の生活を補助する「聴導犬」についても知ってほしいと、かつらぎ町に住む聴覚障害者の宮本弘美さん(52)が活動を続けている。ことしは、公益財団法人大和証券福祉財団から21万円の活動助成が決定。町内外の小学校などに出向き、聴導犬の理解を広める活動を展開する。
宮本さんは、県内に2頭しかいない聴導犬のうち1頭のユーザー。聴導犬は全国でも61頭しかいない貴重な存在。認知度が低いためか、飲食店やスーパーで入店を断られるなど、社会の理解は進んでいないと感じている。また、聴覚障害のある人は、見た目は健常者と同じなので、聞こえないことに気付いてもらえない苦労もある。
宮本さんは、夫も聴覚障害者で2人暮らし。夫婦の耳の代わりになっているのがトイプードルの聴導犬「マミ」(雌・3歳)だ。目覚まし時計、携帯電話メールの着信、キッチンタイマーの音の他、チャイムなどに連動した回転灯が点灯すると、ユーザーの体を触るなどして知らせる。外での聴導犬は、専用のユニホームを着用する。盲導犬と同じように、ユーザー以外が触れることは禁止だ。
県は平成20年度から、給付型支援制度「身体障害者補助犬給付」により、毎年1頭分、約200万円(国2分の1負担)を確保し、盲導犬、聴導犬、介助犬のユーザーを支援している。宮本さんもマミとは、同制度を利用して出会った。聴導犬の取得には、犬とユーザーの40日間の合同訓練での審査が必要で、宮本さんも横浜市の訓練所で訓練を受けた。
今後の周知活動について宮本さんは、「2020年には東京オリンピックの他、パラリンピックの開催もあり、聴導犬の認知を広げたい」と話している。