和歌山市11人が現金授受 教科書謝礼問題
教科書会社12社が国の検定中の教科書を教員らに見せ、うち10社が謝礼を渡していた問題で、和歌山市の原一起教育長は9日、市内では教職員延べ11人が東京書籍と光村図書出版から現金1万円程度を受け取っていたことを明らかにした。尾花正啓市長は、市に任命権がない市立小中学校教職員の倫理規定を整備すべきとの考えを示した。
同日の市議会本会議で浦平美博議員(至政クラブ)の一般質問に答えた。
市教委は実態調査に乗り出しており、謝礼を受け取った11人のうち10人がすでに会社側に現金を返還しているという。11人のうち現職は7人、退職者は4人、複数の教科書会社から謝礼を受け取った教職員が1人いた。謝礼を受け取った教職員の現役職などについて当局は、「個人が特定される恐れがあるため、公表できない」として詳しい説明を避けた。
尾花正啓市長は「このたびの教職員の行為はあるまじきこと」とした上で、「本市の教職員倫理規定を早急に整備すべきと考えている」と述べた。現在の市職員倫理規定は、市に任命権がない市立小中学校教職員を対象としていない。
市に教職員の人事権がないことについて原教育長は「現在の体制は、服務監督権が市教育委員会にありながら、懲戒権が県教育委員会にある二重構造になっている」と指摘。「調査や処分を迅速かつ的確に行うためにも、人事権のうち、まず懲戒権だけでも部分的な移譲が必要」と強調した。