境内の稲荷神社が新築 再興の宇治神社で
和歌山市新魚町の宇治神社(西尾酒子宮司)で13日、境内社・楠本稲荷神社の社殿が新築竣工し、奉祝祭が行われた。荒れ果てていた宇治神社の再興に努力を重ねてきた西尾宮司や氏子らの念願が実現し、境内は喜びに包まれた。
宇治神社は、紀州藩を治めた浅野家、徳川家の鎮守として崇敬されるなど由緒、歴史の深い神社だが、平成17年5月に西尾宮司が着任するまで約7年にわたり世話人がおらず、本殿をはじめ建物はシロアリの浸食などで傷み、境内は草木が伸び放題となっていた。西尾宮司が氏子や地元住民らの協力を得て再建に乗り出し、これまでに境内社・足神神社の復興、本殿の復元、拝殿、鳥居、社務所の新築などが実現。地域の信仰を集める神社としての姿を取り戻してきた。
今回の楠本稲荷神社の社殿新築は、峰塗装店(海南市重根)を経営する峰和男さんが施工、奉納した。昨年春に西尾宮司と知り合ったという峰さんは、西尾宮司の熱意に心を動かされ、社殿新築の仕事を手掛けることに。「望んでもできるものではない、こういう仕事は一生に何度もないこと。完成できて最高の幸せ。大感激です」と喜びを話す。
旧社殿の土台を生かす形でことし2月に着工。横約2・3㍍、奥行き約2・5㍍、高さ約3㍍(土台含む)のヒノキ造りで、拝殿や足神神社と屋根などの形をそろえた美しい新社殿が完成した。参道の鳥居は鴻池幹世さんが奉納した。
奉祝祭では、伏見稲荷大社(京都市)から新社殿に神を迎える神事などが行われ、宇治神社の責任役員や氏子らが参列し、喜び合った。この日は「初午祭」も行われ、新しい社殿で厄除けの祈願などがあり、餅投げには地域の親子連れらも集まった。
西尾宮司は「新しい社殿に神様をお迎えでき、感無量です。皆さんが心から尽くしてくださったおかげで感謝しています。多くの方にお参りいただきたい」と話していた。