農家に学ぶ体験農園 和歌山市初の開園へ

都市部で人気が高い、農作物の体験型契約栽培を行う「農業体験農園」が和歌山市内に初めて開設される。同市鳴神の宇都宮病院敷地内に農家の堀禎宏さん(68)が「鳴神ファーム」を設け、栽培の指導に当たる。12日に同院敷地内のコミュニティ施設「なるコミ」で説明会が開かれ、45人が参加した。

農業体験農園は、土地を借りるだけの市民農園と異なり、農園主が経営し、入園者である消費者に栽培を指導する。種苗や肥料、道具などを準備する必要がないため、初心者も取り組みやすい。

安全、安心で新鮮な野菜を食べたいという消費者の要望に応え、農業者と消費者の交流ができることも大きな特徴で、20年前に東京都練馬区での取り組みから始まり、関東を中心に九州などにも広がり、現在は全国に約140の体験農園が存在している。

同院敷地内には昨年10月、地域の健康・福祉・交流の推進を目指すコミュニティ施設「なるコミ」がオープン。同院駐車場には農地が隣接し、園芸療法のリハビリなども行える好条件であることから、JAわかやまや和歌山大学観光学部長の藤田武弘教授らと活用法を話し合う中で、「鳴神ファーム」の開設が決まった。

他地域では一つの体験農園から複数に広がっていった前例があり、藤田教授の元には、取り組みを希望する他の農家からの問い合わせが、すでに数件寄せられているという。

「鳴神ファーム」の契約期間は4月1日から来年1月末まで。約20平方㍍の区画が16あり、年会費は3万3000円。

説明会で堀さんは、農園の概要と、4月にはカブやホウレンソウ、コマツナなどの作付けを予定していることを説明し、「入園者に対価分の満足をしてもらえるよう、工夫していく」と語った。

参加した前田幹子さん(47)は「有機農法を指導してもらい、食べ盛りの子どもに安全な野菜を食べさせたい」と話していた。

問い合わせは堀さん(℡080・6720・1241)。

堀さんから体験農園の説明を聞く参加者ら

堀さんから体験農園の説明を聞く参加者ら