漆芸家・橋爪さんの功績 名匠表彰記念展
平成27年度県名匠表彰を受けた海南市の漆芸家・橋爪靖雄さん(81)の功績や作品を紹介する記念展(県主催)が21日まで、和歌山市の県民文化会館特設展示室で開かれている。
橋爪さんは父・義雄さんの影響を受け、23歳の頃に漆芸家の道を志した。上京し、漆芸家の佐治賢使氏のもとで腕を磨き、伝統を受け継ぎながら現代感覚を取り入れた作品を手掛けてきた。昭和54年度に県文化奨励賞、平成12年度に県文化功労賞を受けている。
会場には額作品やびょうぶ、重箱、大皿など約20点の他、橋爪さん愛用の道具や、作品に使われる材料も展示。パネルで、下地塗りから蒔絵や螺鈿(らでん)といった技法、仕上げまでの手の込んだ作業工程を紹介している。
橋爪さんがテーマにするのは、身近な自然や宇宙。「私たちは自然と共に生きているという感覚が常に頭にあります」と話す。作品は「悠久の流れ」「蒼い月」をはじめ、愛らしいタンポポを題材にした「道端の春」、桜吹雪をあしらった三段重など、静かで繊細な表現が際立つ。
橋爪さんは「名匠表彰を頂いたことに重責も感じますが、今後の励みにしたい。創作に『これで終わり』というものはなく、まだまだ挑戦したいこともあります。漆の仕事と一生付き合っていきたいですね」と話している。
午前9時半から午後5時(最終日のみ3時)まで。問い合わせは県文化国際課(℡073・441・2052)。