『海難1890』田中監督らに 28年度知事表彰

公共の福祉増進に功労のあった人や、県民の模範となるべき人をたたえる本年度「県知事表彰」の表彰式が5月31日、和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国で行われ、仁坂吉伸知事から県内外の54人、3団体に表彰状が贈られた。

県知事表彰は昭和28年に始まり、今回で64回目。前回までに延べ4950人、275団体を表彰している。ことしの受賞者の最高齢者は、橋本市で永年コウヤマキの栽培に携わっている中谷莊吾さん(90)。最年少は、串本町を舞台に、トルコ軍艦エルトゥールル号の海難事故をテーマにした映画『海難1890』でメガホンを取り、日本アカデミー賞2部門で最優秀賞に輝いた、兵庫県神戸市の映画監督・田中光敏さん(57)。

表彰式で仁坂知事は「皆さまの堅実な活動の上に、今日の和歌山県がある。今後も県の飛躍のために、一層のお力添えを賜りたい」と式辞。

受賞者を代表し、今回唯一の県外の受賞者となった田中さんが「皆さんの先人の真心が、私たちの映画の実現に向け勇気をくれました。この真心を、和歌山から世界中へ広げていきたい。受賞者一同、頂いた栄誉を胸に、さらに精進してまいります」とお礼の言葉を述べた。

45年前に、朗読ボランティア「和歌山グループ声」を結成し、県の広報紙『県民の友』音声版を手掛けるなど、福祉ボランティアに取り組む和歌山市の山本和子さん(84)は「人に恵まれ、支えてくれた周囲の皆さんに感謝の気持ちでいっぱい。地道に続けてきたことが報われ、会員も大変喜んでいます。文字を声に変え、必要とする方がいらっしゃる限り、この活動を続けていきたい」と話していた。

仁坂知事から表彰を受ける受賞者㊧、謝辞を述べる『海難1890』の監督・田中さん

仁坂知事から表彰を受ける受賞者㊧、謝辞を述べる『海難1890』の監督・田中さん