睦奥の精神伝えよう シンポで顕彰ムード
不平等条約の改正などの功績を残し、その手腕から〝カミソリ大臣〟の名で知られる県出身の元外務大臣、陸奥宗光(1844―1897)を顕彰するシンポジウム(実行委主催、本紙など後援)が16日、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛で開かれ、歴史の専門家らが陸奥の人物像に迫った。
開催日は、122年前に英国ロンドンで、不平等条約の改正につながった「日英通商航海条約」を陸奥が調印した日が選ばれた。会場には歴史ファンなど約250人が詰め掛けた。
各分野で活躍する6人が登壇したパネルディスカッションでは、陸奥の幼少期の生活について、元市立小学校長の福田光男さんが、「徳川治宝と親しく、勘定奉行だった父の伊達千広の影響で、和歌山城や寺町周辺、養翠園でも遊んでいたのでは」と、推察される当時を紹介。また、明治新政府のモデルとなった、財政再建などの紀州藩の藩政改革を津田出(いずる)と共に行うなど、20代のころから才能が発揮されていたことを披露した。
和歌山市出身で現在、外務省北米第一課長を務める和田幸浩さんは「誤りのない判断をするためにも、緻密な情報収集を行った陸奥の精神は外務省内で受け継がれている」と評価した。
興味深い陸奥の逸話に、会場からの質問や要望では、「お札の肖像画に採用するべきだ」「大河ドラマや映画の主人公にして偉業を広めてほしい」など熱のこもった意見もあった。
参加した同市中之島の野間田繁一さん(61)は「陸奥の知られざる功績についても話を聴くことができて、勉強になりました」と話していた。