殺処分ゼロを目指して ぶらくりに猫カフェ
猫の殺処分をゼロにしようと、和歌山市本町のぶらくり丁商店街に保護猫カフェ「ハッピーキャット」(田添浩之社長)が今月オープンし、その活動が注目されている。保護猫とは、迷子や飼育放棄で捨てられた後に保護された猫。カフェには子猫を中心に20~30匹がおり、里親候補との“お見合い”や触れ合いを行う。熊本市や神奈川県など殺処分ゼロを達成している自治体もあり、取り組みの成果が期待される。
店舗1階は、幅広い猫グッズ約400アイテムがそろうショップを展開。2階のカフェでは、子猫が元気に走り回り、じゃれ合う姿なども楽しめる他、客の足に擦り寄ってくる人懐っこい猫もおり、癒しの空間が広がる。里親を希望する人には、田添社長が面談を行い、無理な多頭飼いなどに加担しないように飼育場所を確認した上で譲渡する。
オープン時には、田添社長と、猫の保護活動を展開する中川桂子さんとのつながりから、娘の「しょこたん」こと、タレントの中川翔子さんから花のギフトが届いたことも話題になった。
クールだけれども甘えてくるところが猫の魅力という田添社長は「イギリスやドイツなど海外では殺処分ゼロが常識の国も多い。猫の命を一つでも多く救い、動物と人が共存できる社会を目指したい」と話している。
カフェの利用料金は、1時間1080円(ワンドリンク付き)。営業時間は午前10時から午後8時まで(火曜定休日)。問い合わせは同店(℡073・427・8228)。
全国で殺処分されている猫は年間約10万匹。そのうち子猫が約8割を占める。県内の平成27年度の猫殺処分数は2478匹で、22年度の3019匹と比べて減少しているものの、人口10万人当たりの殺処分数は22年度から4年連続で全国ワースト4位と、多い状況が続いている。
県では、餌やりなどを規制する条例が来年4月に施行される他、不妊去勢手術費用の助成などを行う「不幸な猫をなくすプロジェクト」の実施、生まれたての子猫が離乳するまでボランティアが一時的に預かる「ミルクボランティア」の実施など、官民一体で命をつなぐ活動が展開されている。