オール和歌山市ロケ映画「ちょき」が完成
撮影の全てが和歌山市で行なわれた映画『ちょき』が完成。7月29日に同市のジストシネマ和歌山で、関係者やマスコミ向けの特別試写会が開かれた。同市フィルムコミッション(観光課)が誘致し、同市ロケ誘致支援補助の第1号作品。11月19日から和歌山で先行公開後、全国で順次公開を予定している。
試写会には、金井純一監督(33)が参加。尾花正啓市長も鑑賞し「温かみがあり、和歌山弁がこれほどきれいだったのかと感じた。和歌山に住む者にとって特別な映画。観光名所もたくさん出ており、和歌山市の魅力を再発見した」と感想を語った。
同作は愛する妻を亡くし、小さな町で美容師をする中年の男性と、視力を失った少女の純愛を描いた物語。新進女優の増田璃子と、俳優の吉沢悠がダブル主演している。
撮影は昨年12月、島崎町のじゃんじゃん横丁や県立盲学校、和歌山マリーナシティ、和歌浦天満宮などで行われ、全編を通して柔らかな和歌山弁が使われている。
その他、キャストは芳本美代子、小松政夫ら。地元エキストラが大勢参加し、フリーアナウンサーの宇和千夏さんや、モデルの本谷紗己さんらも出演している。
上映後、金井監督は「まちの皆さんが優しく、それがにじみ出るような映画にできればと思った。このまちには、(映画の主人公の)サキとちょきさんがいるような気がしている。ぜひたくさんの方に見ていただきたい」と話した。
10月に開かれる釜山国際映画祭や、東京国際映画祭などへの出品も視野に入れており、国外への市の魅力発信にも期待が高まる。
映画の脚本は、金井監督が同市を訪ね、まちの雰囲気や出会った人々に触発されて書き上げたという。
上映後に開かれた会見で、金井監督は「当初、主人公はもう少し尖った孤独なキャラクターにする予定だった。物語の舞台がレトロな雰囲気のじゃんじゃん横丁になったことで、ずいぶんと丸くなり、優しい作品になっていった」と振り返った。
また県立盲学校の協力で、一人の盲目の少女に出会って話を聞くことができたこと、和歌山弁によって作品に温かみが出たことなどを語り、「じんわりと胸にくる、優しい映画ができた。撮影に協力していただいた方に喜んでもらい、和歌山に恩返しができるような作品になったのではないかと思う」と話した。