学習意欲育むパズル セレンブレイン好評

 公立学校が休日の土曜日を活用し、地域と学校が協力して独自の教育支援に取り組む動きが全国的に広がる中、文部科学省が推進し、多様な企業や団体が参加する「土曜学習応援団」に登録している㈱アレック(和歌山市塩屋、長洲央訓社長)が開発した数字パズル「セレンブレイン」が注目されている。これまでに同市内の小学校5校で利用され、好評を得ている。

 アレックは、学習塾や認知症予防などの事業を展開。セレンブレインは、脳科学の知見から学習意欲を高める教材となっている。

 湊小学校では、市教育委員会と連携し、平成26年度から全学年の児童がセレンブレインを活用。27年度のアンケートによると、全児童の94・3%が「楽しかった」、95・9%が「続けたい」と答え、教職員から「児童の計算力や思考力、集中力が高まっている」などの声が寄せられたという。

 中之島小で6年生を担任する南方美紀教諭(33)は「児童が筋道を立てて考える力がつくように感じる」と話す。

 長洲社長(59)はセレンブレイン開発の動機について、約10年前、小学校4年生の
男子塾生が勉強に対する強いストレス反応を示したことを挙げる。勉強に喜びを見いだす塾生もいることから、「その差はどこから生じるのか探求したい」と脳科学を学ぶことを思い立った。

 51歳で放送大学和歌山学習センターの脳科学に関する講座を受講。その後も、最新の論文を読むなどして学んだ。脳科学の知見では、脳の司令塔といわれる前頭葉を活性化すると「面倒くさい」感情が抑えられ、活性化には、短時間で答えが出せ、正解の達成感が得られるパズルが有効だという。

 長洲社長は世界中から約300種類のパズルを取り寄せるなどして研究。脳が「もう少し頑張ればできるかもしれない」という状況を、4000ものレベル設定で一人ひとりに生み出すパズル「セレンブレイン」の開発に至った。

 県立医科大学と共同研究も行い、脳神経外科の板倉徹教授(当時)が統括する研究班の検証では、セレンブレインを週に1度、60~90分解くなどすると、前頭葉の血流が増加することが認められた。

 長洲社長の妻・有紀子副社長(48)は、人が幸福を感じるには、知性と感性を持つ人間らしさを示す知能の指標「HQ」が重要になるとし、「どのように困難な環境におかれても自分の知性で生き抜く力を、全ての子どもに身に付けてほしい」と願いを話していた。

セレンブレインを開発した長洲社長㊧と夫人の有紀子副社長

セレンブレインを開発した長洲社長㊧と夫人の有紀子副社長