医大薬学部の基本計画発表 33年開学目指す

 統合後の和歌山市立伏虎中学校の跡地に設置が検討されている県立医科大学薬学部について、県は9日、設置の基本計画を発表した。前日には尾花正啓市長が県庁を訪れ、市議会の伏虎中学校跡地活用に関する特別委員会の審議が途中であることなどから計画の発表を延期するよう下宏副知事に申し入れたが、「これ以上スケジュールを遅らせることはできない」との理由で受け入れられなかった。

 福祉保健部の幸前裕之部長と野尻孝子健康局長が記者会見で発表。何階建てかや、同特別委で議題に上がった駐車場の台数などの詳細は示されなかった。

 発表によると、基本コンセプトは、セキュリティー確保のため研究部門などの「非開放ゾーン」と、市民公開講義などで開放する「開放ゾーン」にキャンパスを分け、中心市街地の活用も考慮してにぎわい創出につながる計画を検討するとしている。

 現在の伏虎中の間を通る市道は、下水管など地下埋設物が多数存在するため残し、北側と南側の建物を、地上2階以上で渡り廊下などにより接続する予定。延べ床面積は約2万6000平方㍍。医大紀三井寺キャンパス内にも、医薬連携の共同研究施設(同約3000平方㍍)を建設する。総事業費は約177億円。

 薬学部薬学科の1学年の定員は100人、修業年限は6年で、収容定員は600人になる。教員は60人、職員は20人程度としている。現在は約100人が県外の薬学部に入学しているが、平成33年4月の開学後は2割程度の県内からの入学を想定している。