懐かしくて新しい「ひやしあめ」じわり人気

 厳しい暑さが続く中、夏バテや疲労回復に、ピリリとショウガの風味が効いた飲み物はいかが――。和歌山市葵町の呑多呂(のんたろ)商店(松田重之代表)が製造・販売する、県産ショウガを使った「ひやしあめ」のシロップが、じわりと人気を集めている。背景には、市民にとってなじみ深い、〝あの味〟の存在があるようで…。松田代表(50)は「懐かしいけれど、新しい味。スッキリとした後味と、ほどよいピリピリ感を味わって」とPRしている。

 ひやしあめは、水あめにショウガ汁やおろしショウガを加えた、素朴な味わいの飲み物。松田代表の記憶の中には、幼い頃にぶらくり丁の旧丸正百貨店地下の飲食コーナーで飲んだ、ひやしあめの味が鮮烈にあったという。

 「子どもにとっては、少し大人の味でしたね」と懐かしむ。「あの頃飲んだ甘みの強いひやしあめよりも、もっとおいしいものを作りたい」と思い立ち、商品化に取り掛かった。

 使うのは県産の土ショウガ。新ショウガよりも辛みがあり、濃厚な味わいが特徴。「新ショウガばかりが注目されるが、もとになる土ショウガも売り出したい」との思いもあるという。

 納得できる味を求め、全国各地から、さまざまなジンジャーシロップを取り寄せて研究。水あめは国産にこだわり、鹿児島県産の粗糖を選んだ。甘過ぎるとショウガ特有のピリリとした辛みがなくなってしまうため、微妙な配合に気を配り、飲みやすく爽やかな後味を大切にした。

 こうして2年をかけ、「いまだに味で負けると思ったものは、ない」と胸を張れるほどの商品が出来上がった。

 冷水や湯で3倍に薄めて飲むのがお薦め。市内の喫茶店ではドリンクメニューで提供されており、飲んだ人は一様に「丸正の地下で飲んだ」「懐かしい」などと口をそろえ、反応は上々という。

 ショウガは保温効果があり、冬場はホットで味わえるのも魅力。健康志向の女性や高齢者を中心に人気という。かき氷やバニラアイスとの相性も良く、料理の隠し味としても活躍してくれそう。

 松田代表は「これを飲めば、あの頃の記憶がよみがえるはず。ぶらくり丁や丸正の懐かしい思い出を語り合ってもらえたら、これほどうれしいことはないですね」と思い描いている。

 1本300㍉㍑。980円(税抜き)。呑多呂商店ではコップ1杯での販売もある。産直市場よってって(イオン店、貴志川店など)で取り扱っている。問い合わせは呑多呂商店(℡073・431・8500)。

ショウガシロップ「ひやしあめ」を手に松田代表夫妻

ショウガシロップ「ひやしあめ」を手に松田代表夫妻