紀伊・打田中が代表に 県吹奏楽コンク
吹奏楽の夢舞台へ――。第52回県吹奏楽コンクール(県吹奏楽連盟など主催)の中学校A部門で、和歌山市立紀伊中学校と紀の川市立打田中学校が金賞を受賞し、県代表に選ばれた。両校は27日に京都市のロームシアター京都で開かれる第66回関西吹奏楽コンクールを目前に控え、日々練習に励んでいる。
同部門は、35~50人の編成で出場し、課題曲4曲の中から1曲と自由曲を12分以内に演奏する。今回の県大会では17校が競い合った。
紀伊中は2年ぶりの県代表で、部員は1年生16人、2年生12人、3年生19人。顧問の北田勝己教諭(57)は約20年ぶりに同部を指導している。顧問が変わると部活動の進め方も変わるが、北田教諭は「生徒は反発せずについて来てくれている。5カ月しか一緒に活動していないが、とても信頼している」と話す。
課題曲は「ある英雄の記憶~『虹の国と氷の国』より」(西村友)。ゲーム音楽を思わせる曲調で音の数も多く、高音も求められ、ソロパートも難しい。全体のレベルを上げるために選んだ曲だ。
自由曲は交響組曲「シェエラザード」(リムスキー・コルサコフ)より。千夜一夜物語を題材にした有名オーケストラ曲を吹奏楽用にアレンジした。北田教諭が以前、同部と関西大会に出場した際も演奏した曲で、「ここから再スタートを切ろうという思いを込めて選んだ」。
各教室ではパート練習の音が響く。練習量が年間で最も多く、楽器が傷みやすい季節でもあるため、メンテナンスにも時間をかける。ホールでの音の出し方を覚えるため、県民文化会館を借りて練習することもある。
北田教諭は「演奏がうまくなるために必要な練習は決まっている。生徒たちがついてきてくれるかどうか。聴く人の心を動かす演奏を目標に、他のバンドと良い競争をしたい」。部長の赤山春葵(はるき)さん(14)は「練習時間は長くなったが、楽器を吹くのは楽しいし、毎日新しいことを教えてもらっているので大変とは思わない。関西大会では、自分たちの演奏を納得いくまでできれば」と話している。
打田中は、A部門で初めての県代表を決めた。A部門は部員35人以上で出場が可能だが、これまでは部員の数が満たなかったため小編成部門に出場。同部門では過去に関西大会への出場経験がある強豪は、昨年からA部門に移行し、ことしは38人が出演した。
課題曲は「マーチ・スカイブルー・ドリーム」(矢藤学)、自由曲は「梁塵秘抄―熊野古道の幻想」(福島弘和)を演奏する。同校は出場人数の上限に対して部員数が少なく、他校の演奏に比べると迫力で劣ってしまう。そのため、それぞれの部員が担当するパートを増やし、演奏に厚みを出す工夫を凝らした。自由曲の「梁塵秘抄」は、県立田辺中学・高校吹奏楽部の委嘱で誕生した和歌山ゆかりの人気作品。和の曲調で、現3年生は2年前に小編成部門で演奏した経験がある。熊野古道のイメージを膨らませるため、練習場所の音楽室に写真を貼ったり、情景や心情について話し合ったりし、イメージを共有。従来のクラリネットやサックスなどの楽器の他、神楽鈴や櫓太鼓を用いて「和」の雰囲気を引き立てた。県大会終了後は、同じ音を吹く際の音程をさらに合わせるよう、練習に励んできた。
顧問の内川雅子教諭は「打田中でしか表現できない演奏ができれば」と話し、部長の村田花音さん(3年)は「みんなの気持ちを一つにして、聴いてくれる人にしっかりと音楽を伝えたい」と意気込んでいる。