障害者への配慮実践 和歌山・鳥取が協定
障害の特性を理解し、障害のある人への手助けや配慮を実践する「あいサポート運動」に県が本年度から参加するに当たり、同運動発祥地・鳥取県と協定を結ぶ「あいサポート運動キックオフセレモニー」が8月31日、和歌山市のホテルアバローム紀の国で開かれ、障害者やボランティア団体、NPOの関係者ら約250人が参加した。
同運動は平成21年に鳥取県で始まり、ことし6月末時点で全国7県7市町に広がっている。
和歌山、鳥取両県が参加する関西広域連合の議会で同運動を知った仁坂吉伸知事が共感し、鳥取県に協定を申し入れた。さまざまな障害の特性などを解説したDVDや資料を配布し、一定の理解や取り組みが認められた個人や企業・団体をあいサポーター、あいサポート企業・団体に認定する。
セレモニーでは、仁坂知事と鳥取県の平井伸治知事が協定書にサインし、平井知事が鳥取県の取り組みを講話した。
仁坂知事は「障害がある方もない方も幸せに暮らせる社会をつくりたい。そのための工夫として障害があることを知らせる札『ヘルプマーク』を導入した。きょうはこの運動を最初に始められた平井知事に思いを語っていただきたい」とあいさつ。
平井知事は、自身の祖父が和歌山出身という縁や、江戸時代における紀州藩と鳥取藩の強いつながりを紹介。同運動に着手したきっかけとして、平成19年に日本が障害者権利条約に署名したことを挙げ、「これをきっかけとして社会運動にしなければと思った」と話した。
さらに、学生時代のボランティア経験や平成23年に選挙運動で骨折し、車いす生活を送った経験から「障害のあるなしに関係なく、同じ感情を持ち、懸命に生きている」ことを学んだという。教育現場への手話学習の導入などの先駆的な取り組みが紹介されると、会場から感嘆の声が上がった。
講話の最後に平井知事は、障害を抱えながら社会福祉活動に情熱を注いだ米国のヘレン・ケラーの言葉「私は光の中で一人で歩くより、暗闇の中を友達と歩く方が良い」を紹介し、「障害を知り、共に生きるを合言葉に運動を広げていきましょう」と呼び掛けた。
仁坂知事は終了後の取材に対し「各地の良い取り組みは積極的に取り入れ、具体的に行動していきたい」と話した。