紀の川流域の古墳文化 風土記の丘特別展
和歌山市の特別史跡「岩橋千塚古墳群」に天王塚古墳などが追加され、大日山35号墳から出土した埴輪(はにわ)が重要文化財に指定されたことを記念する特別展「岩橋千塚とその時代―紀ノ川流域の古墳文化―」が同市岩橋の県立紀伊風土記の丘で開かれている。古墳時代の和歌山の地に花開いた独自の文化に親しめる内容となっている。12月4日まで。
同古墳群は、4世紀末から7世紀にかけて築かれた全国有数の群集墳で、総数800基を超える。文献記録から豪族「紀氏」に比定され、特色ある岩橋型横穴式石室や埴輪などの独自の文化を見ることができる。
特別展は、副葬品や集落の生活道具などから古墳群成立の歴史的背景や時代の変化について考えるもの。同施設の所蔵品の他、奈良国立博物館所蔵の「蒙古鉢型眉庇付冑」や、同志社大学が保管(所蔵は和歌山市教委)している、角杯を背負う男子をかたどった人物埴輪など、県外の研究機関などからも古墳時代に関する出土品が集まり、展示史料は約1100点に上る。
紀伊風土記の丘の萩野谷正宏主査・学芸員によると、6世紀ごろから小型の古墳が多く作られるようになり、副葬品の刀や装飾品などの形も、6世紀末から7世紀にかけてシンプルになっていく。今回の展示では、時代順に史料を並べ、変化を分かりやすく見ることができる。
また、集落に関する展示では、大陸との交流で全国的に生活様式の変化が起こった5世紀ごろを中心に展示。馬具や米を炊くかまどなどから文化交流の様子が見られる。
特別展に合わせ、11月20日午後1時半からは記念講演会を行う。兵庫県立考古博物館の和田晴吾館長が「群集墳の成立と展開」をテーマに話す。定員70人。資料代100円(別途入館料が必要)。
会期中の10月16、23、30日、11月6日、12月4日にはセミナーも開催。いずれも午後1時半から2時間の予定。定員各回30人。申し込みは各回の2週間前の金曜日午後1時から受け付け。資料代100円(同)。各セミナーの内容は同施設ホームページ(http://www.kiifudoki.wakayama-c.ed.jp/)に掲載。
申し込み、問い合わせは同施設(℡073・471・6123)。