西洋・日本の名画集結 近代美術館で特別展
セザンヌ、ルノワールら印象派を中心とした西洋美術の巨匠と、岸田劉生、木村荘八ら日本近代美術を変革した主要作家の作品を集めた特別展「動き出す!絵画 ペール北山の夢―モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち」が11月19日から来年1月15日まで、和歌山市吹上の県立近代美術館で開かれる。
仁坂吉伸知事の肝いりで開催する3年に1回の大型企画展の第1弾。全国70カ所から国内外の名品170点が集まる。事業費4109万円を投じ、1万人の来場を目指してPRしていく。
今回の特別展は、大正初期に大きな転換期を迎えた日本の美術を陰ながら動かした知られざる人物、和歌山市出身のペール北山こと北山清太郎(1888―1945)の活動を手掛かりに、大正期の日本を熱狂させた西洋美術と、その影響を受けながら展開した近代日本の美術を紹介する。
北山は美術雑誌『現代の洋画』『現代の美術』などを出版し、西洋の美術を盛んに紹介するとともに、岸田劉生や木村荘八ら若い洋画家たちの活動を、展覧会の開催やカタログ出版などを通じて支えた。支援に感謝した画家たちは、ゴッホをはじめ多くの若手画家を支えた画材商のペール・タンギーになぞらえて、北山を「ペール北山」と呼んでいた。
北山は後に、美術の世界からアニメーションの分野に転身し、大正6年(1917)、初めてアニメーション作品を発表した3人の日本人の一人となり、まさに“絵を動かす”人となった。
特別展は、北山の活動を軸に、西洋と日本の近代絵画作品の数々を時代を追って展示する。主な出品作品は、セザンヌ「縞模様の服を着たセザンヌ夫人」、モネ「サルーテ運河」、ゴッホ「雪原で薪を集める人びと」、ルノワール「泉による女」、岸田劉生「黒き帽子の自画像」、木村荘八「壺を持つ女」など。
仁坂知事は「3年に1回の乾坤一擲(けんこんいってき)の特別展」と期待を寄せ、PRに力を込めている。
関連事業として、対談講演会「動く私、動く自画像」=現代美術作家・森村泰昌氏×熊田司同館館長=(11月26日)▽手回しアニメフィルム上映・解説会(12月23日)▽レクチャーコンサート「出会う!音楽」(1月8日)▽小学生対象の鑑賞会「こども美術部」(12月3日)▽フロアーレクチャー(11月20日、12月11日、1月9日)―がある。いずれも午後2時から。
問い合わせは同館(℡073・436・8690)。