災害時の代替指揮所で訓練 海南署が住民と
阪神淡路大震災の発生から17日で22年を迎える。災害の記憶を風化させず、災害時の対応力向上を目指し、海南署は11日、災害警備訓練を行った。津波で庁舎が使用できなくなった場合に代替指揮所となる海草振興局建設部海南工事事務所(海南市南赤坂)で初訓練。また「発災時被害情報提供者」に選ばれている紀美野町民2人も初めて訓練に加わり、被害情報を共有し、救出部隊の配置などを考えた。
同署(同市日方)は海抜2・8㍍で、南海トラフ巨大地震による津波襲来が予想されている。庁舎が使用できなくなった場合に高台にある同事務所を代替指揮所として使用できるよう、平成25年10月に県と協定を結んでいる。
また昨年4月に発生した熊本地震を教訓に、警察だけでは把握しきれない地域の被災状況を収集するため、県警各署は地域の被災状況を警察に通報する複数の住民を「発災時被害情報提供者」として選出し、同9月から運用。同署管内では58人が選ばれている。
訓練は同事務所と同署真国宮駐在所(同町真国宮)で行い、署員15人と、町民で発災時被害情報提供者である岡博誠さん(70)と粉川醇一さん(81)が参加。南海トラフを震源とする巨大地震後に5㍍の津波が襲来し、土砂崩れや道路寸断などの被害の発生を想定した。
情報を収集する同事務所には管内の地図と衛星携帯電話が設けられ、届いた情報を集約するとともに被害状況を付箋に書き、地図上に貼付。情報提供者や署員から「土砂崩れ3カ所」「桃山町、かつらぎ町方面には行けない」「税務署まで津波が到達している」など、事務所には次々と被災の情報が伝えられ、被害状況をまとめる作業に追われていた。
訓練後、付箋には必要な情報だけを書く▽付箋を色分けして一目で管内の被害が分かるようにする▽情報を正確にまとめる――など改善点や課題を検討。同署の島泰弘署長は「本番は班割りしていてもうまくいかない場合がある。うまく役割分担ができるように助け合いながら、漏れのないように取り組んでほしい」と講評した。
警備課の永濱靖彦課長は「発生した時はこんなレベルではなく、もっと大変な場面があると思います。発災時被害情報提供者から情報を頂き、1分、1秒でも早く管内の発災状況を把握して救出部隊等々を展開していくのがわれわれの使命。今後も継続的に訓練を行っていきたい」と力を込めた。