年金引き下げ違憲訴訟 地裁で第1回裁判
国による年金受給額の引き下げは違憲、違法であるとして、県内の年金受給者103人が原告となり、国に減額分の支給を求めた「年金引き下げ違憲訴訟」の第1回口頭弁論が20日、和歌山地裁で行われた。原告側は年金受給者の生活が危機にひんしていると司法に訴え、被告の国は、請求の棄却を求めて争う姿勢を見せた。
同訴訟は、平成24年の法改正により年金支給額が2・5%減額されたことと、27年度に実施された、社会情勢に合わせて年金の給付水準を自動的に調整する「マクロ経済スライド」について、憲法で保障された生存権や財産権などを侵害しているとして、違憲性、違法性を問うものとなっている。
同地裁大法廷(全84席)に45席用意された一般傍聴席に対し、105人が傍聴を希望。抽選に漏れた人たちは法廷の外で経過を待った。
閉廷後に行われた報告会で、中谷吉治原告団代表は「私たちの一番の目的は、最低保障年金制度をつくることだが、これだけ年金額が下がってきたら、先に下がるのを止めないといけない」と話し、「若い人も高齢者も安心できる年金制度にしたい」と訴え、活動への協力を呼び掛けた。
同訴訟の支援団体の市川純夫和歌山大学名誉教授は「年金制度は人間が老後を安心して暮らすことを考えて創設された制度であり、恣意(しい)的で勝手な運用や制度の改悪を許してはならない」と述べ、原告支持の立場を改めて強調した。
次回の口頭弁論は3月24日午後2時半から開かれる予定。