武用さん最優秀 音楽コンクピアノ部門
全国各地から演奏者が集う「第22回KOBE国際音楽コンクール」(兵庫県、1月7~9日)のピアノ部門で、和歌山市の武用(ぶよう)穂花さん(18)=近大付属和歌山高3年=が最優秀賞に輝いた。演奏の経験を積もうと、同コンクールに初めて臨み「奨励賞に入ればうれしいという気持ちでいたので驚きました」と笑顔。3月20日には同コンクール入賞者によるガラ・コンサートに出演する。
同コンクールは音楽を通して青少年の可能性や感性を育む目的の他、被災地の復興を支援しようと年1回、復興記念事業として神戸市で開催。ピアノ、声楽、弦楽器など6部門あり、小学生、中・高校生、大学・一般の3部門に分かれて審査が行われる。
武用さんは8分間の持ち時間でベートベンの「ピアノソナタ第26番『告別』」の2・3楽章を演奏。「告別の時代背景が分かり、感情を入れやすい」と選曲し、昨年秋に練習を始めた。何度も楽譜を見つめる中、コンクールの約1カ月前には「どのように演奏をしたらいいのか、楽譜の中にあるヒントが自分で分かるようになってきました」と振り返る。
コンクールでは緊張して力まないようにと心掛け、一度きりの演奏を終えた。全奏者の演奏後にホールで入賞者の発表があり、奨励賞の発表では名前が挙がらず入賞を諦めたが、最優秀賞で名前が挙がり驚いたという。舞台上で同賞と兵庫県知事賞を受け、「これまでいろいろと考え、自分が弾きたかった演奏や表現を見てもらえたと思うとすごくうれしい」と受賞を喜んだ。
コンクールにはピアノ指導者の池原憲子さん、恩村陽子さんらも駆け付けた。武用さんがピアノを始めた小学1年から、和歌山市にあるヤマハ音楽振興会の教室で見守ってきた恩村さんは「よく頑張りました。音にも表現がつき、成長しましたね」と目を細める。
昨夏の第29回県高校声楽・ピアノコンクール(紀南文化会館)でも1位に選ばれ、恩村さんは「自分の気持ちを音楽に乗せられるようになってきました」と目覚ましい成長を話す。現在は音楽大学に進むため、日々ピアノの研さんを積んでおり、「音楽を通して自分の気持ちを伝えられるようになりたい」と目標を語っている。
ガラ・コンサートは神戸市立新長田勤労市民センター別館「ピフレホール」で開催。武用さんは、好きな音楽家、ラフマニノフの「ピアノソナタ第2番『第1楽章』」を演奏する予定になっている。