豊かな個性引き出す 太山さん和工で授業

太地町出身で米ニューヨークを拠点に活動する書画家の田中太山さん(38)が17日、和歌山市西浜の県立和歌山工業高校(田村光穂校長)を訪れ、産業デザイン科の生徒40人に筆と墨汁を使った「笑文字講座」を開き、生徒らは伸び伸びと学んだ。

今回で8回目。田中さんは書き方について、文字の太さを変える、書き順とは逆方向から書く、目をつぶって書くなど、固定概念にとらわれない方法を紹介。生徒らが思い思いに紙に自身の名前や好きな言葉を書く様子を見守りながら、紙と文字の空間の大切さなどを説いていた。

「美」などの一つの文字を数人で相談しながら仕上げるように指導した田中さんは「デザインの仕事の場合、クライアントは注文を言いづらい立場にあるので、アーティストから歩み寄ることが必要。社会に出る前に、人と相談する力を身に付けてもらいたい」とその意図を話していた。

授業を受けた高松亜美さん(15)は「田中先生は発想や発言が自由で、人生を楽しんでいるように見えます」、小山絵梨奈さん(16)は「美術部では花や物を写すように描きますが、きょうはお手本がなく自分で考えて書く授業で、楽しかったです」と笑顔だった。

同科の那須弘幸教諭(46)は「型にはまろうとする生徒が多いが、約2時間の授業で感性をダイレクトに出せるようになる。自分にもデザインの仕事ができるかもしれないと希望を持つようにもなる」と手応えを話していた。

熱心に指導する田中さん

熱心に指導する田中さん