三浦さん挑戦を語る 長寿市民フォーラム
第13回「市民フォーラム長寿を目指して2017」が2月25日、和歌山市の県民文化会館大ホールで開かれ、プロスキーヤーで登山家の三浦雄一郎さん(84)が、目標を持って歩み続ける人生の素晴らしさを講演し、県内の医師らが健康長寿社会の実現に向けて医療の視点から語った。
平成17年から毎年開かれているフォーラムで、実行委員会が主催。県、和歌山市、県・市医師会、日赤和歌山医療センターが後援。
はじめに、同センター第一泌尿器科部の金岡俊雄部長が基調講演を行い、筋肉増強などの作用があるホルモン、テストステロンの補充療法を紹介し、加齢による身体能力の衰えなどに効果が期待できることを説明。また、日本の優れた医療保険制度を次世代に引き継ぐために、利用者に求められる心構えなどについて話した。
続いて、同市内で開業する林正泌尿器科クリニックの林正院長が夜間頻尿について講演。夜間頻尿の原因には、膀胱機能の異常によるものと、夜間の尿量が多い夜間多尿のタイプがあるとし、「朝・昼に摂取した水分が夜間に排泄されるのは高齢者の自然の摂理。夕食以降は水を控えるのは不要で、体重に応じて適切な量の水分(一日に体重の2~2・5%)を取ることが望ましい」と話した。
最後に三浦さんが講演し、80歳で3度目のエベレスト登頂に成功するまでの道のりを振り返った。
三浦さんは70代で2度のエベレスト登頂に成功したが、76歳の時にスキー場で骨盤と左大腿骨の付け根を折る大けがを負った。再度エベレストの山頂を目指すという三浦さんの強い意志と山への憧れは驚異的な回復をもたらし、半年後にはトレーニングを再開。両足と背中に重りを付けて歩く独自の健康法を5年間続け、2度の不整脈手術を乗り越えて再び登頂に成功し、世界最高齢登頂記録を打ち立てた。
老いてなお、頂を目指し続ける三浦さんは「人間は夢を持つこと、諦めないで目標に向かって一歩ずつ進むことが大切。これからもチャレンジしながら人生を続けたい」と力強く語った。
その後は、登壇者らによる公開討論が行われ、会場から寄せられる多くの質問に、三浦さんは疲れも見せずに丁寧に答えていた。