4年ぶり県産品展復活 髙島屋日本橋店で
髙島屋日本橋店(東京都中央区)で8日から14日まで、県産食品のフェアが4年ぶりに開かれる。過去に3年連続で開かれながら、売り上げの落ち込みなどで平成25年2月を最後に終了していた同店での県産品フェア。若手県職員の懸命の営業活動で復活への道を切り開いた。復活に向けた取り組みと、百貨店での県産品フェアに関する最近の動向を追った。
同店で8日から開かれる県産品フェアは「和歌山県と諸国味紀行」。同店地下1階の催し会場で開かれる。大阪府などとの共同出店となるが、出店する事業者のうち、7割を県内事業者が占める。
合同出店となる今回のフェアだが、かつては平成22年度から3年連続で県による単独フェアが開かれていた。しかし、売り上げが年々減少し、24年度をもって終了となり、その後は再出店に向けた具体的な動きもなかったという。そうした中、銀座に近い上、百貨店としてのブランドの高さに注目し、昨年6月ごろから同店への営業活動に取り組んだのが県食品流通課の垣谷英宏さん(28)。初めて営業に訪れた垣谷さんに対し、同店の担当者は過去に開かれた県産フェアの結果や近隣店舗との激しい競合を理由に難色を示し、交渉は難航したが、垣谷さんは春に旬を迎える県産品を紹介して季節感を重視する百貨店にPRした他、世界農業遺産認定などの実績も紹介し、県産食品の質の高さを印象づけた。
担当者の元へ4回、5回と訪問を繰り返すなど、懸命の営業が実り、12月末に開催決定の連絡が届いたという。垣谷さんは「日本橋という立地も魅力的でした。フェアを通じて県産品の魅力を知ってもらえたら」と話す。
県は、所得の高い層が多く来店する百貨店での県産フェアに力を入れており、本年度は過去2年を上回る12回の開催を実現。特に人口が多い首都圏での開催には力を入れており、三越伊勢丹でのフェアは定着しつつある。地方での開催にも積極的で、本年度は仙台や青森、鹿児島で開催し、会場では伝統的に知られる梅干しの他、ここ数年で干し柿の人気が急上昇しており、長い行列ができるほどだという。
着実に開催実績を重ねる一方で、県単独でのフェア開催は年々難しくなっているのも現状だ。今回も髙島屋側から合同出店を要請された他、鹿児島や仙台、青森もそれぞれ、奈良や三重、愛知などの近隣各県との共同開催となっており、垣谷さんも「合同開催が条件の百貨店も少なくなく、単独と比べて存在感が薄れてしまう」とこぼす。今回も過去の経緯を踏まえると、次回以降の継続は楽観視できない。県産フェアのブランド化へ向けた重要な1週間となる。