和服地を生かすワンピース ブルーダリア

生き生きとした魅力的な女性が増えることを願って、ワンピース専門店「ブルーダリア」(和歌山市材木丁、井上奈津代表)は、女性を一層おしゃれに輝かせるオリジナル商品を2年前から企画・製造し、昨年12月からは販売を始め、じわじわと人気を広げている。

「ワンピースは上下の服の組み合わせを悩まなくてよいので、その日の装いを決めやすい」と話す井上さん(37)は、美しい衣服を着ると、髪型や化粧を整えることに前向きになる女性の心理に着目している。

4年前、64歳で他界した母の惠美子さんが、闘病中も薄化粧を欠かさなかった姿に、女性が身だしなみを整えることの大切さを、それまで以上に感じた。17歳の娘の友人から「お母さんきれいね」と言われるとうれしい、という願いも持つようになった。

娘の幼少期は、有名ブランドなどの既製服の仕上げに内職で携わり、不要な糸を切ったりアイロンをかけたりして衣服を整え、包装する工程を繰り返した。

娘の成長に伴い、子育て中心の生活に変化が起きた頃、自身を振り返り「何でも最初からやることを楽しいと感じる」性格であることを再認識。購入した衣服に満足できる製品があまりないことや、母の逝去を機に「毎日を精いっぱい生きよう」と決意したことなどから、衣服をテーマに起業することを決意した。これまでに経験した、さまざまなアルバイトや仕事を通じて培った人間関係も後押しとなった。

自身がデザインを手掛けるブランド「ブルーダリア」の立ち上げに際し、井上さんは知人を頼りに縫製の委託先を求めてベトナムを視察したが、内職をしていたころの縫製チェックの経験から「几帳面な日本人の手による縫製が最高」と感じたという。

「本当に良いと思えるものでないと人に勧めることができないんです」と話す井上さんは、半年ほどかけて和歌山で縫製工場を探し、同一デザインにつき10枚という小ロットでも受注する同市毛見の会社に出合った。

生地の厚みによって、スカートの丈が思い通りに仕上がらないこともあるため、サンプルのチェックを繰り返し、一つの商品が仕上がるのに3~4カ月かかることもある。

井上さんは、ウエストや袖口に柄や織りの美しい和服地を使用したワンピースを発案。井上さんの起業の意欲を耳にした和歌山市内の老舗呉服店が、反物を正価より割り引いて提供することを申し出てくれたことがきっかけとなった。

和服を生かしたものの他、明るく華やかな色柄のイタリア製生地を使用したワンピースなどもあり、現在はインスタグラムやフェイスブックで商品を紹介し、ネット販売が中心だが、店舗での販売も検討中。

井上さんは「生地や縫製にこだわったオリジナルのワンピースを手にとってもらえたら」と願いを話している。

ウエストや袖口に美しい和服地を使用したワンピースと井上さん

ウエストや袖口に美しい和服地を使用したワンピースと井上さん