広域観光や移住推進で意見 市町村長会議

県内の30市町村長が行政上の課題について意見を交換する本年度の「全県市町村長会議」が15日、和歌山市茶屋ノ丁の県自治会館で開かれ、観光振興や移住・定住の推進などについて、仁坂吉伸知事をはじめ県幹部らと意見交換した。

議論する行政上の課題として「広域観光」と「移住・定住施策」を挙げ、各市町村長から取り組みの報告があった後、県幹部が本年度の新政策を紹介した。

広域観光について、新宮市の田岡実千年市長は、新宮港に寄港するクルーズ船が昨年度は10隻に達し、本年度はすでに15隻の予約が入っていることを紹介。クルーズ船で訪れる国内の観光客にはリピーターが比較的多く、北山村での観光筏下り体験や串本町のトルコ記念館訪問を希望する人が多いことを話した上で、「観光メニューを増やす必要がある」と強調した。

移住・定住の推進に向けた取り組みについては、有田川町の中山正隆町長が、町内の山間部で人口減や耕作放棄地の増加が進んでいる状況を紹介。仏壇や家財道具の存在を理由として空き家バンクへの登録に消極的な空き家の所有者が多いことを指摘した。

中山町長はまた、人気が高まっている特産のサンショウに期待を寄せる一方、「生産者の高齢化が進んでいる。もう少し若者に来てほしい」と訴えた。

仁坂吉伸知事は、移住希望者が大自然の中での生活から地方の街での生活を望むように変化しつつある状況を指摘し、和歌山市など県内の都市部の首長に対して「当局にまちなかの空き家がどれくらいあるか調べてもらったらどうか」と提案していた。

県幹部を交え活発に意見交換する市町村長ら(県提供)

県幹部を交え活発に意見交換する市町村長ら(県提供)