ホール仕様に意見 新市民会館の基本設計案

 和歌山市の旧伏虎中学校跡地に平成33年4月の開館を目指している新市民会館(仮称・市民文化交流センター)について、市教育委員会は27日、基本設計案の概要説明会を市役所で開き、現段階で検討されている施設の規模、設備などを公表。会場には、各種文化団体などに所属する市民ら約70人が詰め掛け、設計を担当した事業者らと意見を交わした。

 説明は、設計を担当した梓設計・環境建築計画共同企業体(JV)が担当。同JVの責任者は冒頭、「皆さんからの要望の他、市の考え、予算の制約などがあり、立場が違う要望など相いれない部分もあるが、総合的に判断したのが現計画案」と述べ、理解を求めた。

 新市民会館のメーン機能であるホールについては、同じ市内中心部にある県民文化会館とのすみ分けの必要性も指摘される中、今回示された基本設計案では、大ホール約1000席(1階席約680、2階席約320)、小ホール約400席とした。その他の機能では、茶会などを行う和室、大中小の各会議室、展示ギャラリーの他、市民から強い要望があったリハーサル室や練習室(4室)を確保している。

 会場からの意見では、大ホールには音響板機能や舞台袖があり、演劇からコンサートまで多機能に使えるものの、小ホールは舞台周囲が壁で覆われているためコンサートホールのような印象だとし、舞台転換などが必要な演劇関係者らから「演劇では使えない」などの訴えがあった。JV側は「技術的には小ホールも舞台袖仕様にできるが、舞台袖のスペースが狭く、皆さんが思っているような使い方はできない」と回答した。

 この回答に対し、小ホールが使用できない種類の公演の場合、「大ホールを満席にできるほどは観客が集まらないし、割高になる大ホールの使用料の面も心配」とする意見も寄せられた。

 新市民会館の事業スケジュールは、平成30年度までに実施設計を終えて建設工事に着手し、32年度中に完成、33年4月の供用開始を目指している。

新市民会館の基本設計案を巡り意見が交わされた

新市民会館の基本設計案を巡り意見が交わされた