アマ相撲 県庁の冨田さんが全国初V

 先月、福岡県久山町の福岡久山相撲場で行われたアマチュア相撲の第27回全国選抜大学・社会人対抗九州大会で、県庁相撲部の冨田有輝選手(31)が個人戦で初優勝を飾った。大会序盤から優勝候補との対戦が相次ぐ中、粘り強い相撲で勝ち上がり、栄冠を手にした。同部の主将を務める冨田選手は「とてもうれしい。気を引き締めてさらに良い結果を残したい」と意気込んでいる。

 冨田選手は和歌山市出身。県立和歌山商業高校に進学してから、相撲を本格的に始めた。中央大学を卒業して県庁に入庁し、防災課や県税事務所での勤務を経て、本年度から県公営競技事務所で競輪場運営についての事務を担当している。父・忠典さん(故人)も県庁相撲部で活躍した実績があり、進路に選んだという。

 同大会は全国の大学や社会人の有力選手が集まる大会で、冨田選手は2年連続の出場。昨年は県庁相撲部が団体戦で優勝を飾ったのに対し、冨田選手は個人戦でベスト16に終わった。

 今大会は序盤から優勝候補と当たる厳しい組み合わせ。冨田選手は「思い切った気持ちで相手にぶつかった」という。決勝では、昨年の優勝者で連覇を狙う長崎県選抜の田中達也選手と対戦。厳しい戦いを覚悟したと言うが、立ち合いから左右の両上手をつかみ最後は、つり出しで優勝を決めた。

 県庁相撲部は部員4人で構成。平日の業務終了後、和歌山市の県営相撲場で汗を流す。冨田選手が所属する公営競技事務所は競輪のナイター開催に対応する必要があり、その日は午後1~9時の勤務となるが、相撲部出身の上司らの配慮があり、可能な限り通常時間の勤務になっているという。冨田選手は「本当にありがたい。職場のサポートが試合で大きな力になっている」と感謝し、「30代に入り、体力的に大変な部分もあるが、体力が続く限り頑張りたい」と話している。

つり出しで優勝を決める冨田選手(冨田選手提供)

つり出しで優勝を決める冨田選手(冨田選手提供)