家康紀行(21)「家康くん」と「直虎ちゃん」
前号では、秀忠公の産土神として信仰を集める「五社神社・諏訪神社」を取り上げた。浜松は家康公が17年にわたり居城したのち天下統一を果たしたことから、市は「出世の街」を前面に押し出し魅力を発信している。今週はその役割を担う、家康公をモチーフとした市のマスコットキャラクター「出世大名家康くん」を紹介したい。
家康くんは市政100周年を記念し平成23年に誕生。「はままつ福市長」の肩書を持つ。チャームポイントのちょんまげはウナギ、羽織の紋はミカン、はかまはピアノの鍵盤、といった浜松の特産品があしらわれている。この家康くん、誕生から今日までの経歴が面白い。
平成25年に行われたゆるキャラグランプリで「優勝を逃した折には自慢のちょんまげを落とし出家大名に改名する」と宣言し、いざ出陣。家康くんのやらまいか精神(遠州地方の方言で「やろうじゃないか」の意)に、浜松市民が懸命に応援するも、準グランプリに終わる。
その後、公約を守るべく断髪式を催しウナギのちょんまげを落とし出家。養鰻場や料理店での修行、犀ヶ崖資料館(先に紹介)での座禅、うなぎ観音への参拝など修行を行い、出家から約1カ月後、うなぎ観音からのお告げにより「出世大名」の名を復活させるに至り、注目を集めた。
大河ドラマ「おんな城主直虎」の主人公、井伊直虎も浜松ゆかりの人物。平成28年8月「出世法師直虎ちゃん」として、家康くんと同じく市のマスコットキャラクターに。市内を走る路線バスには2体が大きくラッピングされ、井伊直虎ゆかりの地としての浜松もPRしている。
(次田尚弘/浜松市)