三段壁が名勝追加へ 国の文化審答申
国の文化審議会(馬渕明子会長)は、白浜町の三段壁(さんだんべき)を名勝「円月島(高嶋)及び千畳敷」に追加指定し、名称を「円月島(高嶋)・千畳敷・三段壁」に変更すること、高野町の光臺院(こうだいいん)書院庭園を登録記念物に登録するよう文部科学大臣に答申した。これにより、県内の国指定名勝は10件(変更なし)、登録記念物は6件となる。
三段壁は白浜半島の南西部に位置し、新生代第三紀の砂岩(田辺層群白浜累層)からなる雄大な海岸段丘。40㍍から50㍍の高さで、約1㌔にわたって連なる。
約1600万年前に海底に堆積した小石混じりの砂岩の地層が隆起し、その後風化浸食が進んで崩落した結果、形成されたと考えられている。断崖絶壁にある洞窟などを含め、江戸時代以来の名所として、円月島(高嶋)や千畳敷とともに、白浜海岸の優れた風致景観として重要であると評価された。
光臺院書院庭園は、昭和を代表する作庭家の重森三玲が昭和38年に造園。中島を有する池泉が中央に配置され、背後に高野山を囲む峰々を模した築山群が設けられている。築山や中島には石が組まれ、軒下には敷石による独特な州浜も造形されていることなどから、奥行きのある空間を構成。
高野町における重森の庭園群の中に位置づけることができ、造園文化の発展に寄与した意義深い事例であると評価された。