人口減地域で起業率低く 28年新設法人調査
東京商工リサーチの新設法人動向調査によると、平成28年に全国で新しく設立された法人は12万7829社(前年比2・1%増)で、うち県内は537社となり、前年より41社(8・2%)増加したことが分かった。
業種別で件数が最も多かったのは建設業の119社(構成比22・16%)だったが、伸び率では繊維工業が5件(前年比50・0%増)でトップとなった。
全国では、平成28年の訪日外国人観光客数が2403万人(前年比22%増)と過去最高に達したことや、先行きの東京五輪・パラリンピック開催などを背景に、宿泊業が前年比40・6%増と伸び率が最大となったが、県内では1件(前期比1件減)にとどまり、都市圏と明暗を分けた。
新設法人設立数は7年連続で前年を上回ったが、増加率は、前年の4・5%を2・4下回る2・1%にとどまり、リーマン・ショック後では、前年比マイナスとなった平成21年を除いて最も低い伸び率となった。
人口1人当たりの新設法人比率は、東京(1位)、大阪(3位)、福岡(4位)などの大都市圏が軒並み上位にランクインしている一方、人口減少の目立つ県が下位に並び、ワーストは秋田、山形、島根と続き、和歌山はワースト10位だった。人口が経済の活力源であることがうかがえる。
新設法人数を普通法人数で割った「新設法人率」は、沖縄が8・7%で最も高く、東京、福岡、千葉など人口増の地域が続いた。低かったのは秋田2・5%、長野2・6%などで、和歌山は3・6%で27位。おおむね人口減少率の大きい地域ほど新設法人の割合が低く、65歳以上の人口割合が30%を超える地域で低い傾向が見られた。
同社は起業促進について「人口減少や高齢化と関連性が高く人口問題と切り離せない。生産と消費、サービスの基盤を構築できないまま、補助金などで強引に開業率アップを図っても長続きは難しいだろう」と分析し「まずは開業率を高める土台となる着実な地方底上げを急ぐべきだ」としている。