広がる「青色」の世界 岩崎さん還暦記念展
和歌山県和歌山市の岩崎孝志さん(60)の還暦を記念した大作展「あおいろの世界」が11日まで、和歌山市の県民文化会館小展示室で開かれている。岩崎さんは「還暦を一つの節目に、新たな旅立ちという気持ち。これからも絵をたくさん描くことで、何か新しいものを発見していきたい」と話している。
岩崎さんは大阪芸術大学芸術学部デザイン学科を卒業。以後は絵筆を執っていなかったが、ふとした創作をきっかけに両親が喜ぶ姿を見るのがうれしくて、平成23年から精力的に絵を描き始め、県展や市展、新世紀展などの公募展で入賞、入選を重ねてきた。
今展では100号を中心に、県展で最優秀に選ばれた「奏でる時」、市展で2席の「昨日の夢」など、約6年間で描いたアクリル画の大作14点を展示。
主なテーマとするのは「雨降り」。キャンバスに表現するのは、頭の中にある雨が降り始めた数秒間のイメージで、葉に落ちた水滴などをみずみずしい立体感で表現。美しい青の色調で、波紋や気泡とともにバイオリンやピアノの鍵盤などを描き、まるで深い海の底にいるような、時の流れを感じさせるような深々とした静寂が漂う。
多くの作品には水滴が描かれ、岩崎さんは「水滴の球体を絵から絵へ旅をさせるように、楽しみながら描いています」とほほ笑む。最近は彫塑作品にも挑戦。今後は抽象表現にも取り組みたいといい「新しい表現を求める人や次に続く人が増えればうれしい。文化的な盛り上げに、少しでも貢献できれば」と話している。