日高の反原発映画の続編完成 地元で上映
和歌山県日高町と徳島県阿南市の原子力発電所立地反対運動などをテーマにした長編ドキュメンタリー映画「シロウオ~原発立地を断念させた町~」の続編となる、「いのちの岐路に立つ~核を抱きしめたニッポン国~」が完成。24日には脚本・製作を担当した矢間(やざま)秀次郎さん(77)=東京都、環境問題ジャーナリスト=が同町方杭の民宿波満の家を訪れ、経営者の濱一己さん(67)に新作の完成を報告した。
平成26年春から公開された1作目の「シロウオ」では、同町阿尾と小浦の原発問題で反対運動を行い、原発の計画を食い止めた人々のインタビューなどを収録しており、その一人として出演したのが濱さん。波満の家では、矢間さんらと共に続編映画の「いのちの岐路に立つ…」(110分)を観賞した。
監督は原村政樹さん、ナレーターは時代劇「木枯し紋次郎」などで有名な俳優・中村敦夫さん。映画では広島、長崎の原爆被爆者やアメリカのビキニ環礁水爆実験の被爆者(第五福竜丸船員)、原発被爆労働者、大学教授、報道写真家らのインタビュー、活動を紹介。福島原発のような事故を引き起こす恐れがある原発の実態を早くから暴き出していた「原発黒書」にもスポットを当てている。
阿南市で原発反対運動を行った元市議や父親の後を継いだ漁師も登場する。ラストは、広島で被爆した女性が「核兵器廃絶」「全原発廃炉」「(これがかなうまで)安らかに眠れません」と三つの言葉を書いた灯籠を川に流すシーンがあり、政府への強烈なメッセージで締めくくっている。
矢間さんは「広島、長崎、ビキニ水爆実験、福島原発事故に伴う膨大な被爆者の凄惨(せいさん)な現実がある。なぜ原発再稼働にこだわり、核による放射能の厄災を繰り返すのか。いのちの岐路に立つ人間として、覚悟が問われている」と話している。濱さんは「日高町で原発に反対したからこそ、この美しい海で息子たちも民宿や漁師を引き継いでくれている。反核、反原発の大切さはこの映画を見ればよく分かる」と話していた。
東京都で今月9日に公開され、去る23日から10月6日まで大阪市のシアターセブンで上映中。10月21日から11月3日まで名古屋市のシネマスコーレでも上映される。
希望があれば各地で上映会も開催。基本料金は5万円で、別途参加人数×500円が必要。詳しくは矢間さん(℡042・381・7770)。