消費増税や改憲で議論 和歌山1区の政見
22日に投開票される第48回衆院選は、日々情勢が揺れ動いた野党の離合集散劇などの影響で争点が見えにくくなっている。各候補は現在の政治課題をどのように考えているのか。和歌山1区に立候補している共産党新人・原矢寸久氏(66)、希望の党前職・岸本周平氏(61)、自民党前職・門博文氏(52)の3候補(届出順)の考えについて、これまでの主張や9日に和歌山県和歌山市内で開かれた公開討論会での発言などから比較した。
安倍首相は衆院解散の理由の一つに、平成31年10月に予定している消費税率10%への引き上げによる増収分の使途を変更し、子育て支援や教育費用の負担軽減に、より多く充てることを挙げた。消費増税とその使途について各候補はどう考えているのか。
原候補は、法人税や所得税の税率が長期的に見て低下傾向にある状況を放置したままで消費税率を引き上げることに反対の立場。「消費増税は消費のマインドを冷え込ませる」と指摘している。
財務省出身の岸本候補は、消費税を「公平で使い勝手が良い基幹税」とし、「医療や社会保障などの水準を維持するには増税が必要」との立場。増税にはメリットもあることを国民に知ってもらいたいとする。
門候補は、政府支出の財源確保には消費増税が必要とする立場で岸本氏と一致する。税率引き上げによる増収分は「子育てや教育に使う」との政権の立場を強調し、景気対策を進める考えも示す。
核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応についてはどうか。
門候補は「国が危ない時こそ安定した政権が必要だ」と発言。北朝鮮の脅威が新たな段階に入ったと述べ、安定した実績のある政権の力が今後も必要だとして、自公政権の存続を訴える。
岸本候補は、北朝鮮のミサイルが米国本土に到達するのは技術的にまだ難しいとし、世界の中で最も危険が迫っている国は日本だと指摘。「挑発的な言動を繰り返す安倍政権の外交は国民の生命を危険にさらしている」と批判する。
原候補は、対話による北朝鮮との関係修復を図るべきという立場。小泉純一郎元首相が北朝鮮を訪問し日朝平壌宣言に署名したことを評価し、「なぜああいうやり方ができないのか」と現政権の強硬な対応を嘆く。
安倍首相が強い意欲を示す憲法改正について、岸本、門両候補は時代に合わせて憲法を変えるべきだという点では一致を見せた。
岸本候補は、個人の尊重や幸福追求権などを定めた13条を例に「素晴らしい憲法」と評価しつつ、地方自治や情報公開に関する規定の充実を訴える。9条への自衛隊の明記については「アジア諸国から軍国主義化を心配される」として反対の姿勢を示す。
門候補は、具体的な改正内容にはふれておらず、「時代と憲法の間で齟齬(そご)が生じる可能性がある。50年後、100年後に向け国会で冷静に議論すべきだ」と改正論議を呼び掛ける。
原候補は、憲法の平和主義にふれ「素晴らしい憲法で、全面的に守るべきだ」と護憲を主張。改憲を前提に議論が進められることに懸念を示している。
地域活性化については、門、原両候補が平成の市町村合併により都市部以外の地域に衰退が見られることを指摘。
原候補はガソリンスタンドやスーパーの撤退が進んでいることを例に「都市部と地方の格差はさらに広がっている」と危機感を募らせる。
門候補は「合併の再検討も選択肢として必要ではないか」と話す。
岸本候補は国が一元的に税制を決定する仕組みを批判し、「地方が自由に税制を変えられるよう、憲法を改正して地方に課税自主権を与えるべきだ」と主張している。