岩本栄之助を顕彰 海南文化協会秋の遊宴会

海南文化協会(花畑重靖会長)の秋季遊宴会が7日、和歌山県海南市船尾の温山荘園の本館で開かれた。

毎回「先覚功労者顕彰」として郷土発展に尽力した先人をたたえており、ことしは下津町鰈川出身で大阪中央公会堂の建設に寄付した岩本栄之助が選ばれた。花畑会長は「秋の忙しい時期に、こんなにたくさんの人に来ていただいて大変ありがたい。岩本栄之助が建てた中央公会堂は今でも歴史に残る立派な建物。続きはこの後の顕彰で聞いてもらえれば」と笑顔であいさつ。

同会の笠松俊博さんが岩本栄之助の功績を紹介した。栄之助は明治10年生まれ、父は製ろう、かんきつ業を営んでいた。明治39年に家督を相続して株式仲買人となる。株式市場の暴落時に全財産を投じて北浜の仲買人を救ったり、私財を投じて塾を造ったりして「北浜の風雲児」と呼ばれ人望を集める。明治42年に大阪市に100万円の寄付を行い公会堂を建設すると発表。渋沢栄一、上村俊平らと共に財団法人公会堂建設事務所をつくり、建設に取り掛かるが、大正5年に相場で大損失を被り、遺書と辞世の句を残して39歳で死去した。

記念演奏では同会邦楽研究部と民謡部が民俗芸能や民謡を披露。海南の無形民俗文化財である「つつてん踊り」や海南の原風景を歌った「海南音頭」、民謡では「川口節」などを歌い、参加者は秋の暖かい日差しの中でゆったりと楽しい時間を過ごした。

つつてん踊りを披露

つつてん踊りを披露