防災力向上へ研修 モンゴル一行が和大へ
モンゴルの災害対策を進めるJICA(国際協力機構)の「地震防災能力向上プロジェクト」の一環として、モンゴルの国家非常事態庁や教育研究所の職員ら15人が日本で2週間の研修を行っている。9日には和歌山県和歌山市栄谷の和歌山大学産学連携イノベーションセンターなどを訪れ、園児への防災教育や災害時のライフラインについて学んだ。
午前は和歌山市立杭ノ瀬保育所で、防災ソングを活用した歌って踊る防災教育と避難訓練を見学。午後から同大学でライフラインが断たれたときの避難生活の知恵について実践的に学んだ。研修員は起震車に乗って震度5強から7の地震を体験し、阪神・淡路大震災の被害状況やライフラインが断絶された中で過ごす避難所生活の不便さについて説明を受けた。
電気や水道といったライフラインの中でも、特に被災者に大きな影響を与えるトイレ問題を解消するため、緊急用「マイトイレ」を同大災害科学教育研究センター客員教授の今西武さんの指導で作成した。
新聞紙を箱型に折り、ビニール袋を外側にかぶせ、中に丸めた新聞紙を詰めると、マイトイレが完成。災害時は郊外へ避難することになるモンゴルではトイレ問題になじみがないようで、研修員は戸惑った表情も見せながら作っていた。
今西さんは「モンゴルと日本の避難生活は違っても、トイレ問題は忘れないでほしい。近いうちに役に立つはずなので、覚えていてくれたら」と話した。
非常事態庁災害予防局のムンフバット予防課長(44)は「きょうのプログラムは全て参考にするべき内容だった。保育園での避難訓練は園児たちのまとまりのある行動に驚いた。メンバーそれぞれの部署で活用していけたら心強い」と研修を振り返った。