太地の捕鯨問題描く 県内2館で映画上映

 和歌山県太地町の捕鯨について多角的に考えるドキュメンタリー映画「おクジラさま~ふたつの正義の物語~」が25日から、和歌山市松江のジストシネマ和歌山と新宮市佐野のジストシネマ南紀で上映される。来月8日まで。

 同町のクジラ追い込み漁を批判的に描いた映画「ザ・コーヴ」が米国でアカデミー賞を受賞して以降、大きく注目を浴びる捕鯨問題。捕鯨を守りたい日本人とそれを許さない外国人という単純な図式ではなく、多様な意見を紹介しようと作られた。

 監督は佐々木芽生さん。テレビの報道番組の取材や制作に長く携わった後、映画監督となり、2008年には収入が少ない中で世界屈指のアートコレクションを作り上げた公務員夫妻を描いた初作品「ハーブ&ドロシー」が多くの映画祭で賞を受けた。今回の作品製作に当たり、同町を20回以上訪れたという。

 映画には地元の捕鯨漁師や反捕鯨団体「シーシェパード」のスコット・ウエスト代表、三軒一高太地町長ら捕鯨問題に関わるさまざまな人が登場。試写会に参加した県資源管理課の職員は「立場が異なるさまざまな人の意見を聞くことができ、捕鯨問題に対する理解が深まった。ぜひ多くの人に見てほしい」と鑑賞を呼び掛けている。