海外販路拡大に期待 ジェトロ和歌山開所式
和歌山県内企業の海外進出支援などを行う「日本貿易振興機構(JETRO=ジェトロ)和歌山貿易情報センター」の開所記念式典が20日、和歌山市の県庁で行われた。海外のビジネス動向や商取引制度などの豊富なデータを持つジェトロの拠点誕生により、県内企業の販路拡大が期待されており、県選出の世耕弘成経済産業大臣(参議院議員)らが出席し、開所を祝った。
ジェトロは国内企業の海外進出や外国企業の対日投資促進を支援し、今月1日現在で海外54カ国に拠点がある。和歌山貿易情報センターは10月16日、設置費用の半分を県内自治体が負担する形で県庁東別館2階にオープン。都道府県庁内へのジェトロ拠点の設置は初めて。センター会長は紀陽銀行の片山博臣会長が務め、柴田哲男所長をはじめ職員5人が勤務し、県産農水産物の海外輸出支援や外国人観光客の誘致促進などに力を入れている。
開所式でジェトロの石毛博行理事長は「中小企業の海外に対する関心が高まっている。和歌山は農水産物や観光資源などグローバルに通用する資源がある。気軽にセンターに相談してほしい」と利用を呼び掛け、世耕経産相や仁坂吉伸知事、尾﨑太郎県議会議長らとテープカットを行った。
式典に続き、出席者はセンター内を視察。相談者が関心のある国のビジネス環境を調べることができるパソコンや、世界各国・都市の情勢を幅広く紹介した冊子などを設置しているハード面の他、開所以来の相談状況について柴田所長から説明を受けた。
世耕経産相は「海外への販路拡大に熱意を持っている県内企業が多いと感じた」と述べ、センター職員に「県内各地を回って製造・生産の現場を把握し、県と協力しながら各企業に寄り添ってほしい」と求めた。
視察後の記者会見で柴田所長は、開所後の相談件数が月約60件に上っていることや、内容の約4割を農水産関係が占めていることを紹介し「海外進出に興味はあるがどうしたら良いかなど、まだ具体的ではない相談も歓迎するので、ぜひ来ていただきたい」と強調し、仁坂知事は「ジェトロの機能は高度化している。ぜひ海外の市場環境や制度などについて相談してほしい」と呼び掛けた。