高校生で初の最優秀 県展洋画で後藤さん
第71回和歌山県美術展覧会洋画の部で、県立和歌山高校芸術表現系列3年生の後藤明日加さん(18)の「木々のざわめき」が最優秀賞を受賞。21日まで県立近代美術館で開催中の県展で展示されている。後藤さんは県展初出品での栄誉で、同部門で高校生が最優秀賞に選ばれるのは、県が主催になった2009年以降初めて。
作品は100号(約1・6㍍×1・3㍍)の大きなサイズの油彩画。シュロの木を中心に背景の枝や葉の重なり、木を照らす陽光の入り方など、山に群生する木々が細部まで描かれている。
後藤さんは海南市下津町に在住。題材になった風景は自宅近くの山に入ったときに見つけた。家の周りは美しい景色も多く、現在授業で描いている海の風景画も家の近くから見えるものだという。
制作は週に4時間の油彩画の授業が中心。茶色と白で陰影をつけた下絵を描き、その上から色を塗って色調をつけていく「グリザイユ」という技法で描いた。4月から始めた制作は放課後、夏休みも登校して描き続け、作品搬出の10月ごろまで続いた。大きなキャンバスに群生する木を描くため、葉や枝の色を分けて塗る細かい作業がたくさんあったという。長期間にわたる制作に「早く終わらせたい」と疲れることもあったが、一度作り始めたものを投げ出すのも悔しかったので、根気強く作業を続けた。
受賞の知らせに後藤さんは「最優秀賞の実感は後になって湧いてきた。描いている途中で本当に完成するのか不安にもなったけど、頑張ったかいがあったと思う」とにっこり。卒業後は司書を目指して進学予定。「絵を描くことは好きなので、余裕があればまた創作活動を続けたい」と話している。