弁護士が暴力団の現状解説 那賀暴追大会
暴力のない社会づくりについて考える「第12回紀の川市・岩出市暴力追放市民大会」が6日、和歌山県紀の川市粉河の粉河ふるさとセンターで開かれ、同市出身の山崎和成弁護士が「民事介入暴力の現状について」と題して講演し、自治体職員ら約120人が聴き入った。
両市と岩出警察署が主催。西川敏秋署長はあいさつで、昨年末現在で県内に暴力団が9組織あり、構成員は約130人に上ることを紹介。1992年に暴力団対策法が施行されて以降、組織数、構成員数ともに減少傾向が続く一方で、指定暴力団「山口組」の分裂に伴う抗争事件も起きているとして「決して気を許せない状況だ。自分たちの街は自分たちで守るという気概を胸に、暴追運動に取り組んでほしい」と呼び掛けた。
日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会副委員長の山崎弁護士は、対策法や暴力団への利益供与を禁じる暴力団排除条例の制定により、「暴力団排除の社会的風潮ができてきている」と説明。暴力団の活動手法が変化していることにふれ、「昔は脅してひるんだ人から利益を得ていたが、最近はだましてお金を得るようになっている」と話した。
オレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺に暴力団が関わっているケースも多いと指摘。2016年の被害額は全国で約400億円に上ると紹介し「被害者は地方に住む高齢者が多く、自分は大丈夫だと思っている人ほど危ない」と注意を促した。
特殊詐欺の対策については、オレオレ詐欺を例に「子どもを名乗る男から電話がかかってきたら、自分の携帯電話に登録してある子どもの番号に電話して確認してほしい」と呼び掛け、不審に思った場合は身近な知人や警察に相談することを勧めていた。
講演の他、県警音楽隊による記念演奏も行われた。