大飯盛物祭の紙芝居を寄贈 貴志川高図書部
和歌山県立貴志川高校(紀の川市貴志川町長原、揚村典生校長)図書部は、地元の大國主神社に伝わる全国的に珍しい神事「大飯盛物祭」について紹介した紙芝居を市立河南図書館(同町神戸)に寄贈した。23日に同館で贈呈式が行われ、紙芝居は今後、子どもたちの地域学習などに役立てられる。
「大飯盛物祭」は、高さ約5㍍、直径約3㍍の竹で気球のような形状を編み上げ、餅約6000個を取り付けて大きな握り飯に見立てた「盛物」が登場し、台車に乗せて中貴志コミュニティセンターから同神社まで約1・7㌔を練り歩く。準備の負担が大きいことから開催は不定期となっており、前回は2016年4月に11年ぶりに行われた。
寄贈した紙芝居は26㌻の大作『受けつがれた伝統 紀の川市指定文化財 大国主神社神事大飯飯物祭』。祭りの保存に取り組んでいる地域住民からの依頼を受け、同部の生徒が16年1月から5月にかけて祭りの準備から当日までを取材して制作した。絵の作業には美術部員も参加し、生徒13人で作り上げた。
大飯盛物祭を愛する祖父が孫に祭の魅力を語り、祭本番を見学した孫が「将来は(台車の)綱を引きたい」と話すなど、祭りへの関心を深めていく様子を描いている。作品は県立図書館主催の16年度「手づくり紙芝居コンクール」の一般の部に出品し、優秀賞に輝いた。
贈呈式には、図書部から3年生の出口穂花さん(18)、2年生の木下朋香さん(17)と根来唯花さん(17)が出席。根来さんが「紙芝居を活用し、伝統的なお祭りを受け継ぐ活動の一助となれたら」とあいさつして目録を贈呈し、受け取った稲垣幸治市教育部長は「立派な作品を贈呈していただきありがたく思います。図書館を中心にしっかり活用していきたい」と話した。
紙芝居は地域の伝統神事について子どもたちが学ぶ機会などに活用される。岩出市に住む出口さんは「取材をするまで祭りを知らなかったのですが、当日の盛り上がりがすごく、さまざまな年齢の人が一丸となって取り組んでいるのが印象に残っています」と話していた。